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逃げて逃げて逃げまくる。夜に近く、視界が暗く染まり、例の目の錯覚が発動する。
「まぁ意味無いんですけどねぇぇぇぇ!!」
「あ、あのぉ……なるべく抵抗して欲しく無いのですが………」
知らん、黙れ!お前が怖くて逃げてるんだよ!!
俺は全速力のまま脇道を通り抜ける。公園まであと少しだ、頑張れ俺!!
「あぅぅ……そこまで拒絶しなくても~」
「うるせぇ黙れ!黒い翼なんて生やしやがって、羨まs…悪魔かよっ!!」
走るスピードに合わせて飛んでいる女の悪魔は半泣きの状態で何が何でもついて来ようとする。
「あ、悪魔なんて酷すぎませんか!?私はただのサキュバスですってばぁっ!」
「それを悪魔と言うんだよっ!」
律儀に返答した俺は一体…。取り敢えず逃げるのが先だ。
俺は恐怖と幾分かの興味で全身が震えるのを感じた。決してこの悪魔に怯えた訳じゃない。
俺に待ち受ける厨ニと、目の前の厨ニでSFなファンタジーに巻き込まれているのが堪らなく気持ち良いのだ。
「……あぁ、やっとか」
「うゅ?」
走りながらも吊り上がる口角が止まらない。悪魔が首を傾げるが知ったこっちゃあ無い。
やっと……!やっと、俺にもチャンスが来たのだ。神様からのご褒美だ。確信は無いけど。
「…………………フヒw」
思わず下衆い笑みが零れちまったぜぃ………www
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