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清志が通う学校ではやっている遊びは、かくれんぼ。
小学校の二年生にふさわしい遊びであろう。放課後になると、女の子も一緒になって学校の裏山の公園でかくれんぼして遊ぶのが恒例となっていた。
しかし……。
「――ジャンケン、ポン!」
いつもの通り、鬼を決めるためのジャンケンだ。
「また清志か! お前ジャンケン弱いよな。何でパーしか出さないんだよ。分かるような気もするけど……」
また清志が鬼になった。いつも負けてばかりなのだ。
仲間が一斉に散らばって行った。裏山といっても、小高い丘のようなものだ。そんなに高くもなければ、広くもない。
木に顔を寄せて三十まで数え終わった清志は、振り返って辺りを見回した。
広くはない原っぱに、建設用の土管が数本、無造作においてある。その横に小さな小屋が建ってはいるが、あとは雑木林が広がっているだけだ。
清志はゆっくり歩いて探し始めた。もちろん、分かりやすい土管や小屋の中など誰もいるはずがない。そんなことは分かっていても、取りあえず確認してみる。――やはりいつもと同じだ。
誰もいない土管の上に立って、密集している雑木林を見渡した。
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