0人が本棚に入れています
本棚に追加
あれ以来、学校中であの洞窟の幽霊の話しが広まっていた。 最初は清志のことを馬鹿にする笑い話だったのだが、しだいに尾ひれがついて、本当に幽霊が出たとか、血まみれの女が追いかけてきたとか、誰かが幽霊に殺された、という驚くような話しにまで発展していた。
その話が大きくなるにつれ、かくれんぼに参加する人数も日ごとに減っていった。清志もあれから参加していなかったのだ。
「なあ清志。お願いだから参加してくれよ。メンバーが足りないんだ」
清志を誘うケンの言葉が、以前よりも優しくなっている。もちろん人数集めのためだ。
「だって僕、臆病者だし、嘘つきだし……」
清志はわざと言ってった。
「嘘かどうか分からないよ。そんなことより、今日のかくれんぼ、参加してくれるよな」
清志はしぶしぶ立ち上がった。
今では恐怖心よりも、仲間はずれにされる淋しさと、嘘つきだといわれる悔しさだけしかなかったのである。
開き直ったおかげか、今日はすんなりとジャンケンに勝つことができた。
清志は一目散に林の中に走りこむ。すると……。
「こっち、こっち! 早くおいでよ!」
最初のコメントを投稿しよう!