柚の恋

春 入学式

……小山慎……

クラスに入ると１人の女の子が目に入った
建築科に女子は 珍しい

「俺 小山 慎 よろしく！君は？」

「私 柴田 桜子
よろしくね小山君」

さばさばした 感じのいい子だな
そう 思った

「めずらしいね 女の子が建築って」

「そうね ほとんどいないんじゃないの？」

見渡しても 女子はいない

「私 洋風建築が好きなのよ
小さい頃から…城とか
ｻﾞｸﾞﾗﾀﾞﾌｧﾐﾘｱなんか大好き」

「ふーん 俺はどっちかっていうと
日本の古い寺とかが好きだな」

話が合って 意気投合した

「そういえばさ
入学式の時 小さくてふわふわした髪の
女の子と 一緒にいただろう？」

「ああ 柚？
鈴木 柚って いうのよ
小学校からの親友だけど柚がどうかした？」

「いや 入学式の時 ちょっと見かけたから…」

「柚 可愛いでしょ
ちょっと天然ぽいけど
あ…ちなみに彼氏いないから」

「いや…そんなんじゃないし」

『そうか柚って いうんだ』