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「もしもし?」
電話にでた沙織の声はいつもと変わらない。俺は緊張を出さないようにロビーに来てほしいと伝えた。
エレベーターがロビーについて沙織を待っている間はすごく長くて、長くて。もうとっくに消灯時間が過ぎてるんじゃないかって思うくらい長い時間を待った気がする。もう周りには生徒も先生もいない。
「翔太?」
エレベーターホールから駆け寄ってきた沙織。時間がない。あんまり行動を選んでる場合じゃない。
「どうし」
俺は無言で沙織を抱きしめていた。ムードなんてないのはわかってる。それでもこれが一番早いと思った。
「ちょ、なに」
「好きだ」
戸惑った様子の沙織に思いを伝える。こんなことになるとは思ってなかったがそんなことどうでもいい。今は思いを伝えたという事実だけが俺の頭を巡っていた。
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