第十章 〜Class VIIIへ〜

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── 恵梨子 「ん……ふぁ……~…………ふ」  大きなアクビ一つして ボーッとした思考でボロボロの天井を見つめる。  あれ?  ここってどこだっけ?  というか今何してるんだっけ?  そうだ 今はまだゲームのイベント中だ。 「龍羽君……?」  起き上がって周りを見渡すも 近くの壁際で神魔達が寝こけている姿があるだけで 仲間の気配はない。  イベント経過時間を見ると21時間になろうとしていた。 「まだ帰ってきてないのかな?」  ガラスが崩壊した窓から外を覗いてみても 人がいるように思えないが すっかり日が出て早朝の清々しい空気を放っていた。  とりあえず歯ブラシセットと水を買って洗面を済ませる。 「さぁ皆、起きて」  神魔達を起こしてビルを出るため一階へ。  トラップはセットしたままの状態だったので回収して外へ出た。  辺りには特に何もおらず 清々しい日光に照らされたゴースト摩天楼が広がっているだけである。  勝手に動き回らない方がいいのかな?  どうすればいいのか判断がつかず 寝ていたビルの入口付近でしばらく帰ってこないか待っていると 少し遠くの方から声が聞こえてきた気がした。  神魔達をビルに隠れさせ 耳を澄ませてみる。  何やら大声で交わす会話と笑い声が微かに私の聴覚を刺激した。  こんないつ敵と遭遇するか分からない世界で堂々と呑気に会話してる雰囲気からして 龍羽君と小墨君だと思う。  神魔達を連れて 恐る恐る声が聞こえてくる方へと向かった。 "──タナ? ヤッパレンシュウシテヨカッダロ?" "ケッコウヨユウデビックリトリッススヨ"  うん MAPに青点表示があるしやっぱり二人に間違いないよね。  そう確信した私は近付いてきている声の方へと歩みを進めた。 「──しとけよ? あと装備わっ」 「おはよう龍羽君」 「ビックリした! 恵梨子さん起きたんですね」 「うん、寝てないの?」 「全然寝てないです。あれ? 貴っちは?」 「あ、まだ寝てるのかな?」  三人で栄くんを迎えに行く事に。  仮眠に使ったビルに入り階段を上がって二階フロアにある一つ目の部屋には人の気配は無く 私が寝ていた二つ目をとばして一番奥の部屋を覗くと まだ寝ている様子の栄君が床に転がっていた。 「まだ寝てんのか……んー朝飯でも食う?」 「そうだね」「そっスね」  夜ご飯に使ったクッカーとフライパンを出して米を炊き始めた龍羽君に(なら)って 私も一つ100Zのシングルバーナーと10ZのOD缶を買って 朝食を作るお手伝いの準備をしてみる。 「え? 何かお金がめちゃくちゃ増えてるんだけど?」 「あー夜中中ずっと狩ってたんでかなり貯まってるでしょ?」 「経験値も溜まってますよぅ? ウヒヒヒ」 「ホントだ」  たった二人でどれ程戦ったのか分からないけど 寝てた間にAPが約1500も溜まってた。
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