第十章 〜Class VIIIへ〜

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 移動中は連携の取り方をレクチャーし エンカウントするモンスターやプレイヤーでの実戦後に ヒーラーとしての位置取りを助言。  とはいえ俺もこういう戦闘は初心者なのでそれが正解か分からなかったが ヘイトボタンの有効範囲ギリギリ付近より少し内側で タンクとアタッカーの動きを観察しつつHPに気を配り フォーメーションを崩さないように常に動くように伝えた。 「龍羽君、新しいアビリティが出たよ」  どうやら仲間のHP・MP・特殊ゲージが視界の任意の場所に表示しておける[パルタズィ(共感覚)]という杖用のアビリティが習得可能になったらしい。  これでいちいち仲間の頭上に浮いてるゲージを見なくても そして例え見えない位置に居たとしてもHP管理ができるわけだ。 「おーそれ俺も欲しいな」  補助アビリティは武器を換装しても使えるので 便利なモノは全て取っておきたい。  それに自分でそのポジションをやってみないと分からない事だってある。  恵梨子にSSRを装備してもらい 杖を借りてヒーラーに転職し 目的地へと進む。 「そういやこれ何処に向かってんの?」  貴嗣の質問にビルの合間から見える一際高い建造物を指さして「あそこ」と返し更に続ける。 「収穫者(Harvester)が言うにはあの建物の地下に行けばClass IXが居るらしい」  夜とは違い 銃撃の音や爆発音が四方から木霊してくる賑やかな道を呑気に歩いていると 俺達が歩いている通りと交差する道から何か飛んできたなと思ったら「発見! 四枚!」とプレイヤーが躍り出てきやがった。  俺達を枚数で表現した事を後悔させてやるぞゴミ共が。 「G! E9!(幻馬ヘイトを取れ! 敵はClass IX)」 「りょ!」  瞬時に展開されるフォーメーションだったが Class IX相手に『やったこともないヒーラーで大丈夫か?』と()ぎるも ヤバくなるまで舐めプを押し通す事にする。  一番最初にぶっ飛んできた両手に短剣を持った忍者みたいな格好の敵が 目で追うのがやっとの連撃を幻馬の大盾に叩き込んだ。  ヤベぇ速すぎてパリィが全然取れてないな……スイッチするべきか!? 「クソが! グラシエラ(凍結魔法)!」  残っていた特殊魔力を使って忍者みたいな敵と その後方に居た大杖使いをパッキパキに凍らせた。 「ナイス幻馬ぁ! 恵梨子さん!」 「う、うん!」  動かなくなった敵を俺達に任せ 後方から走って詰めてくる敵と対峙している幻馬。  タンクとしての情報処理が更に上達している。  戦車の主砲クラスの射弾音を伴い恵梨子のSSRが火を吹き忍者の頭を貫いた と同時に左下のヘルスゲージの上に表示される経験値。
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