第十章 〜Class VIIIへ〜

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「恵梨子さんもういっちょ!」 「うん!」  ボルトアクションをして飛び出る薬莢が宙を舞い地面で跳ね転がる。  次の瞬間 周辺の空気を一瞬で押し退ける様なえげつない爆発音が辺りを強烈に支配した。 「しゃあ! ナイスヘッショ!」  二人目もヘッドショット一撃で戦闘不能へと追い込んだ彼女。  あまりの射弾反動に振り回されてる感は否めないが 動かない敵であれば問題なく処理できている。  幻馬は後方部隊の銃火器持ちとヒーラー相手に上手く立ち回っていた。  「幻馬ぁ! 凍結凍結!」と貴嗣が早く動きを止めろと指示。  「グラシエラ!」と放たれた魔法は一人分の動きを完全停止させ しばらくすると貴嗣の魔弾が敵の頭を貫いた と同時に砕け散る体表の氷。  いくらClass X最強武器とはいえ Class IXの装備と基本防御値を前に一撃では仕留められなかったようだ。  状況を把握した瞬間 俺は杖を左手に今し方凍結から復活した敵目掛けて飛び膝蹴りを食らわせた。 「ぶぅふぇっ!」  幻馬は背後を無警戒で敵の最後方の奴らと対峙中。  動きを止めた時点で後方の俺達が処理していると確信して動いているので 仕留めきれなかった奴へ咄嗟に飛び膝蹴りを食らわせたわけだ。  これは自分が大盾をやっているから瞬時に気付ける判断であって タンクを実際にやった事のない者はその判断がワンテンポもツーテンポも遅れ 仕舞いには前線が崩れる原因になるだろう。  その判断に何を思ったのか 恵梨子が「龍羽君!」と俺に向かってSSRを下手投げでぶん投げてくる。  それを受け取った瞬間何も考えず地面に転がった敵の頭へスコープも覗かずぶっ放した。  強烈な反動のはずだが 筋力増加アビリティのお陰かハンドガンレベルに感じる。 [EXP 25800]  流石はClass IXのカンストプレイヤー 経験値が美味し過ぎだ。  残党に目を向けると ほぼ死にかけのHPが敵の頭上に表示されていた。  弓に換装しMPを消費して「天弓爆矢」と唱え空に向かって矢を放つと 三十本に分離した矢が一斉に雨の如く敵に向かって降り注ぎ 敵や地面に刺さった一本一本が小爆発を起こして0へと落ちるHP。 「おけー楽勝じゃぁ! 我々にヒーラーは必要ですかねー? ハハハハハ」  上手くなりつつある連携に上機嫌ですよ僕ぁ。 「パリィめちゃくちゃ失敗したぁ! やっぱClass IX相手は難しいっスねぇ」 「こんだけできれば十分だろ」 「短剣みたいなやつ速すぎてタイミングが全く分からんかったスよ」 「確かにSPEED500の割に速すぎだったな? 短剣のアビリティだろうな」 「俺もはよ動体視力向上100%アビ欲しいっス」  最後尾にいた敵のヒーラー付近に転がっていた神魔を剥離して 尚も突き進む。
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