第十章 〜Class VIIIへ〜

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「つか俺思ったんやけどさぁ? 何で皆神魔を後ろに隠してんだろな?」  いやそりゃ神魔に攻撃が当たればその主にダメージが入るし解らんでもない。  実際うちだって基本は恵梨子に預けて俺達は自由に立ち回っているが よくよく考えれば神魔を使って空を飛ぶプレイヤーもいた事だし 戦闘に参加させればいいのではないだろうか? 「──と思うんだが」 「そう言えば大きなクジラと戦った時、私の神魔が体を抱えて水面から浮かしてくれてたよ?」  なるほど?  やっぱ翼がある神魔を使って空を移動する事は可能なのか。  『中型犬より少し大きくなったかな?』程度に成長した 首が長く目の無い毛がフサフサのホワイトドラゴンを見る。 「お前人を掴んで飛べるんか?」  その問いに顔を背中へ向け「背中に乗れ」と言わんばかりの幼龍へ試しに跨ってみると バサッと翼を羽ばたかせ空へと駆け上がった。 「うわおっ!」  仲間の頭上を三周して地に降り立ち得意げにフシューッと鼻息を鳴らすホワイトドラゴン。 「おー……これで移動すれば早かったのではないだろか?」 「っスね! え? 俺の神魔だけ翼が無い……のですが? フヒ」  一連を見て貴嗣が自分の神魔に跨るも 極彩色が毒々しい(カラス)の神魔はスルッと主の股から逃げ出した。 「なんでやねん!」  逃げ出した烏がバサッと飛び立ち 急旋回をして貴嗣に向かったかと思うと 両足で幼馴染の肩を掴んで空へとどんどん高度を上げ始める。 「おー! ちょちょちょ! 怖い怖い!」  頭上の貴嗣を見る俺達はポカーンとした表情をしていただろう。 「……神魔の形態によっても違うんやな」  「まぁそりゃそうか」と未だ空中ブランコよろしく空を楽しんでいる(?)貴嗣から視線を外し 幻馬をどうするか考えた。 「流石に俺のドラゴンまだ小さいからタンデムできんと思うんやが?」 「私のは人型だから二人は無理だと思う」 「そうだ幻馬の神魔もか」  そんな事を相談していると メイド服姿の中学生な神魔がしゃがみこんでドラゴンの後ろ足首を掴んだ。  そして前足を指さして主である幻馬を見る。 「はい? 俺の神魔にお前ら厄介になるおつもりで?」 「いやぁねぇ? そんなねぇ? 無理っスよねぇ?」  とりあえずもう一度ドラゴンに跨ると 跳ね馬のように前足を上げて幻馬の肩を掴みそのまま空へと飛び立った。 「きゃー! 拉致よう! 事件発生! わっち拉致られてるわぁ!」  何やら訳の分からない事を唱えながら空中を蹴って暴れる幻馬に「うるせぇ!」と言放つと そのまま唐突に目的の建造物へと空の旅が始まり 魔天使に後ろから抱きかかえられた恵梨子が慌てた様子で飛んでくる。
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