第十章 〜Class VIIIへ〜

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 ドラゴンの横に並んで「置いてかないでよ」と少々ムッとした可愛い表情を浮かべる彼女。 「そんなまさか置いてかないですよ」 「……にしてもドラちゃん大丈夫なの?」  ド ドラぁ?  いつから俺の神魔は水死体みたいな名前の猫型家電になったんだ? 「どうやら全然平気そうですね」  極彩色の烏も隣にやって来て 至る所で行われている戦闘に巻き込まれることなく 優雅に空を移動していた。 「これ早く気付くべきやったな。まぁ成長したからこれができてんだろうけど」  最初の産まれたて子猫みたいなサイズでは流石に無理だろう。  空から見ると目的地まで結構距離があったことに驚いたが その距離をいとも簡単に縮める移動手段に感動を覚えた。 「この世界じゃ車なんてゴミやなしかし」  あっという間に目的の建造物上空に到達し 戦闘が行われていなそうな場所へと降下する。  「おーしご苦労」とドラゴンの頭をポンポンしてやって どこから建物に入るのか見渡した。 「スタンディングジェットコースターみたいでしたわ」  耳元までやって来て静かにそう言った幻馬。 「そうなんや」 「命の保証のないスタンディングジェットコ──」  「うるせぇ!」と半笑いで奴の抗議の言葉を遮る。  俺達これでもナウで命を賭したゲームやってんだぜ? 「目的地までは来たけども、結局収穫者(Harvester)には遭遇できんかったな」  貴嗣のClassを優先したいところではあるが 遭遇しない事には話にならない。  「空から探す?」と恵梨子が名案を思いついた。 「なるほど、MAP見ながら空を飛べば早いかも知れませんね」 「おーナイスアイデアやじぇ!」 「あ、そういや幻馬の時に収穫者(Harvester)から聞いた情報なんやが、俺達が参戦すると強くなるらしいけどどうする?」  収穫者(Harvester)曰く 召喚獣を攻撃する人数によって能力値が変動するらしく 上のクラスが一定値ダメージを与えると回復するらしいのだ。  だからエノシガイオス戦で全回復という現象が起きたのだと知った。 「Class IXが三人おったらバチバチ強化された召喚獣になるだろうけど?」 「えー! そんなんありかよ! いやまぁPCでもレイドボスとか人数によって変わったりするけどさぁ! こんな命賭けたゲームでそれはエグいやろ!」 「でも逆に俺達が手を出さんかったら全然弱いって事やで?」 「一人で倒せって!?」 「幻馬もほぼ一人で倒したしいけるやろ」 「思ったより余裕っスよ」  俺が遭遇した時より遥かにマシなステータスと装備をしてるんだから負けるハズない……よっぽどじゃなければ。
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