第十章 〜Class VIIIへ〜

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 男の仲間の近くでドサッと倒れた黒豹のような神魔へと速攻で喰らいついて肉を引き裂く白龍。 「ギャハハハハハ弱すぎてマジ笑えるんだが!」  高笑いキメこむ俺を見て完全にドン引きで固まる男女四人。  「ギャハハハハハわっちも殺したいですぅ!」と幻馬が弓矢を手に気色悪いくらいの笑顔で歩いてくる。 「ヤバいヤバい! 逃げろ!」 「康太は!?」 「もう死んでるよ! 急げ!」  何やら急に慌ただしくなった敵PTが背を向けて走り出した直後 「剛力爆矢」と呟いて放った矢は敵の女の背中に刺さり 更にその前を走っていた男を一緒に縫い付けて爆発した。  情を引きやすい女を狙うなんて流石よく分かっていらっしゃる幻馬さん。  瀕死状態で転がる男女へ仲間が振り返り 助けるべきかを一瞬悩んだ様子だが 神魔を連れてすぐさま踵を返し走り去ろうとする背中。 「もういっちょ! 天弓爆矢!」  ヒュンッと空へ向かって放たれた一本の矢が三十本に増幅し 走り去る敵の頭上から雨の如く降り注ぎ 花火大会並に爆破音を展開した。  ゴロゴロと地面を力なく転がる四人。 「殺っちまったなぁ!」  俺の言葉に「男は黙って天弓爆矢!」と更なる追撃でトドメをさす幻馬。 「私が刈り取るまでもなかったようだ」  振り返ると シルクハットの紳士が真顔で突っ立てっていた。  プレイヤー同士の戦闘をただただ眺めていたらしい。 「私はそこのClass Xのプレイヤーに試練を与えるべきかな?」 「その為にわざわざ来たんだ、逃がさんぞ?」  「そうか」と右手でシルクハットを被り直した後 「ディバァンクス召喚!」と宙に繰り出したストレートパンチから広がる青紫の巨大魔法陣。  その中心からヌッと頭を突き出してきた人面の化け物が 猫のような足取りで出てくる。  全長10mは超えているだろう大きさ。  派手苦しい孔雀のような色彩の翼を背に生やし ライオンの体をした人面の召喚獣が 顔を左右にゆっくりと振りながら 高音と低音が交互に繰り返すような気色の悪い鳴き声を吐き出した。 ───────────────  【ディバァンクス】 [HP:35000/35000] [MP:20000/20000] [物攻:600] [魔攻:800] [物防:400] [魔防:500] [SPEED100] [物理耐性:無し] [魔法耐性:氷吸収・風無効] [急所:霊鳥の羽] ─────────────── 「よっしゃ貴っちやったれ!」  大盾とロッドに換装しヘイトボタンを押す。 「これ一人で殺るんかよ!」  他のPTは知らないが うちは皆一人一匹召喚獣を葬ってきたんだからできないはずはない。 「幻馬と恵梨子さんは周りから敵が来ないか警戒よろしく!」
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