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あの日は、気まずくなって、結局いつもより早くお店に着いたのに、いつもより早く家に帰った。
長い時間、同じ場所に居られたらって 思って早く行ったのに、居られなくなって帰っただなんて、私はつくづくボケツを掘った。
「侵害」って。
「ショック」って。
言われてしまった。
だけどさぁ、あんな遠回しな言い方じゃ、私は性格歪んでるから、いまいち理解できないよ。
永田さんの意地悪…。
もっと単純に教えてよ。
水曜日の休みの日、私は昼までベッドに横になっていた。
電話、掛かってきますように…。
気になって、実は昨晩から一睡もしていないから今、ちょっと眠たいんだよね。
布団をギュッと握り締めていた。
スマホの着信音が鳴った。
液晶を見ると、「永田さん」。
私はすぐさま手に取った。
「もしもし!」
「もしもし、敏子?」
「うん」
「今、何してる?もしかして、寝てた?」
うはっ、電話ごしの声もまた、いい声してるわ。
ってか、かっこよさ変わらなーい。
「今ね、寝てた」
「そっか、起こしちゃったかな」
「そんな事ないよ。永田さんは?」
「さっき起きて、まだ少しだけゴロゴロしてる」
「仕事、今夜もあるの?」
「あるよ。そう言えば、こないだ帰る時、元気なかったね。早く帰っちゃったし。俺、キツイ事を言っちゃたかなって…」
気にしてたの?
キツイ事を言ったのは、私のはずなのに。
「そんな事ないよ。ねっ、永田さんはお休みはいつなの?」
「俺は、次のシフトから水曜と土曜が休みだよ」
「へぇ~!凄いね、偶然、一緒だぁ」
やだやだ!
じゃあもしかして、週に二日もデート出来るかも 知れないって事?
…誘われたら、だけど。
神様、ありがとうございます!
「そうだね、偶然、一緒だね」
誘って欲しいな、デート。
お店以外で、二人で会いたいよ。
今、この電話を使って念じよう。
永田さん、デートに誘って下さい。 お願いします!
「ところで休みの日は、いつも何してるの?」
おおっと! きたきたー!
「暇してる、完全なるナマケモノだよ」
「ナマケモノの敏子か。何だか想像つくな(笑)」
永田さん、メチャクチャ笑ってる。
嬉しいな。
「笑いすぎー!」
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