3、嬉しい話

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あの日は、気まずくなって、結局いつもより早くお店に着いたのに、いつもより早く家に帰った。 長い時間、同じ場所に居られたらって 思って早く行ったのに、居られなくなって帰っただなんて、私はつくづくボケツを掘った。 「侵害」って。 「ショック」って。 言われてしまった。 だけどさぁ、あんな遠回しな言い方じゃ、私は性格歪んでるから、いまいち理解できないよ。 永田さんの意地悪…。 もっと単純に教えてよ。 水曜日の休みの日、私は昼までベッドに横になっていた。 電話、掛かってきますように…。 気になって、実は昨晩から一睡もしていないから今、ちょっと眠たいんだよね。 布団をギュッと握り締めていた。 スマホの着信音が鳴った。 液晶を見ると、「永田さん」。 私はすぐさま手に取った。 「もしもし!」 「もしもし、敏子?」 「うん」 「今、何してる?もしかして、寝てた?」 うはっ、電話ごしの声もまた、いい声してるわ。 ってか、かっこよさ変わらなーい。 「今ね、寝てた」 「そっか、起こしちゃったかな」 「そんな事ないよ。永田さんは?」 「さっき起きて、まだ少しだけゴロゴロしてる」 「仕事、今夜もあるの?」 「あるよ。そう言えば、こないだ帰る時、元気なかったね。早く帰っちゃったし。俺、キツイ事を言っちゃたかなって…」 気にしてたの? キツイ事を言ったのは、私のはずなのに。 「そんな事ないよ。ねっ、永田さんはお休みはいつなの?」 「俺は、次のシフトから水曜と土曜が休みだよ」 「へぇ~!凄いね、偶然、一緒だぁ」 やだやだ! じゃあもしかして、週に二日もデート出来るかも 知れないって事? …誘われたら、だけど。 神様、ありがとうございます! 「そうだね、偶然、一緒だね」 誘って欲しいな、デート。 お店以外で、二人で会いたいよ。 今、この電話を使って念じよう。 永田さん、デートに誘って下さい。 お願いします! 「ところで休みの日は、いつも何してるの?」 おおっと! きたきたー! 「暇してる、完全なるナマケモノだよ」 「ナマケモノの敏子か。何だか想像つくな(笑)」 永田さん、メチャクチャ笑ってる。 嬉しいな。 「笑いすぎー!」
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