2、良い話

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恋の話が大好きな私は「永遠」という言葉に含まれる「永」という漢字が、実はとても大好きなのだ。 ロマンチックで、深くて重みのあるその「永」という漢字が、私は大好きなのだ。 その「永」という漢字の付く名前のあなたを、私は意識しない訳がない。 永田さんは、またチェリーを取り出してチェリーにキスをして、出来上がったカクテルの中に、そっと沈める。 「今夜は僕のキスのあじ、どんな味がするんでしょうね?」 静かに差し出されたカクテルに、私は触れる。 「きっと昨日よりも美味しいと思います」 グラスの側にある永田さんの指先に、私は受け取る時に触れてしまった。 あっ…。 何も言わずに永田さんは、カウンターを片付ける。 一口、そしてまた一口と含ませて、昨日とは違うキスのあじを確かめて飲み込む。 優しくて、柔らかくて、伝っていく甘さに惑わされながらも、酸っぱさが爽やかに後味を消し去る。 「全然、昨日と味が違う。昨日よりも細かく美味しさが伝わるからかな…」 「あなたの気持ちが違うからだと思います。同じカクテルでも、毎日毎日、あなたが飲めば違った味になる。あなたのがよっぽど、僕の名前よりも素敵ですよ」 また、そうやって優しく笑って、私のノンアルコールカクテルにアルコールを注ぐから。 私のトキメキはまた熱くなり、あなたに惹かれていく。 私はあなたを好きになってしまいました。 チェリーを積まんで、私はほおばる前に、そのチェリーにキスをした。 …チュッ… 「キスしたら、チェリーの味も変わるかな…なんちゃって」 一瞬だけ、驚いて。 永田さんは、黙ったまま私の楽しげな表情を見つめていた。
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