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今夜もまた、カクテルは永田さんのおごりになってしまった。
それだけじゃない。
扉の外まで見送ってくれた。
「今夜も寒いから、風邪を引かないようにね。それから気を付けて」
「はい、ありがとうございます」
「何もなくても、またお店に来て下さい。今度は、本当のキスのあじのカクテル、ご馳走しますよ」
「はい、また来ます」
またじゃないよ。
何度だって、あなたに会いに行くよ。
「じゃあ、また」
手を振り、私は帰って行く。
寒いのに、私が角を曲がるまで、彼は見届けてくれた。
嬉しくて、私の身体は温まっていた。
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