2、良い話

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道案内をして、本当に自宅前まで送ってもらった。 「今日は本当に具合、悪くさせちゃってごめんね。でも、また懲りずに店に来てよ。次は、サイドメニューもご馳走するからさ」 「私はいつも、ご馳走されてばっか」 「不満?」 「全然。でも、ありがとう」 「全然。こちらこそ、ありがとう」 わざとらしく同じ言葉を言うんだから。 面白くねーよ!(笑) 「じゃあ、行くね」 私は助手席の扉を開けると、 「敏子…」 名前を呼ばれてドキッとした。 静かに振り返ると、すっと手が伸びてきて、私の頬に手を添えてきた。 「敏子と今夜は話が出来て、よかった。おやすみ、敏子…」 「うん。おやすみ、永田さん…」 ビックリした。 キスされるかと思ったけど、また違った。 私はただ思ったまま、感じたままを、あなたへと伝えただけだよ。 私は何度も、去って行く彼の車に手を振った。 見えなくなるまで、ずっと手を振り続けた。
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