ルービックキューブ

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果穂さんへ わたしが果穂さんにこのような手紙をお出ししようと思ったのは、他でもありません。 思い出すのも嫌でたまりませんが、 わたしの過去の話_______あの事件__________について書こうと思った次第です。 千葉にあるわたしの町では、 5年生のころ、ルービックキューブが流行っていました。 本当に、町の名前を言っても分からないような辺鄙な場所でしたので、 子どもの文化もそれなりに、都会の子より幼かったのです。 ちょうどわたしのときは、 ルービックキューブでどこまで色を合わせられるか、勝負しあっていました。 男の子でも女の子でも、関係なしにです。 わたしはそれにすっかりハマってしまいました。 ある日の、法事の日のこと。 法事から家に帰ると、 玄関近くに無防備に放置してあったわたしのルービックキューブが無くなっていたのです。 親にも、管理が悪いと散々叱られました。 ですが、実は置き手紙があり、 「明日朝早く、いつもの公園にきてねー」とありました。 てっきり幼馴染のエリの仕業だと思っていたわたしは、 翌日あっさり公園へと足を向けてしまったのです。 それが、わたしの中での「事件」の始まりでした。
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