ルービックキューブ

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いつもの公園というのは、 わたしたちの通っていた小学校のグラウンドの倉庫裏のことです。 この手紙を書いたのはエリだと思い込んでいたわたしは、 絶対に懲らしめてやるぞ、と意気込んでいました。 そして、翌日。 エリと江美がいます。 倉庫裏で突っ立っていたエリにふざけながらその手紙を見せると、 驚いたような顔つきでわたしを見上げました。 つまり、全員の手元からルービックキューブが無くなっていて、この置き手紙があったということらしいのです。 どうも嘘を吐いているようには見えませんでしたので、 そのまま遊ぶことにしました。 空がオレンジ色に染まりかけた頃。 一人の男がこちらに歩いてきました。 狭い町でしたから擦れ違う人々は顔見知りがほとんどでしたが、 その男は顔も見たことのない顔でした。 ですが特に不審には思わず、 わたしたちは気にせず遊んでいました。 _______ねえ、きみたち。 男が話しかけて来ました。 あの頃警戒心の無かったわたしたちは、「なあに?」と返しました。 ________おじさん、ちょっと困っててねえ。手伝って欲しいことがあるんだけど。誰か、立候補してよ。 そう言って男は、手を挙げるジェスチャーをして見せました。 りっこうほ、の意味が当時分からなかったわたしたちは、みんな好奇心で即座に手を挙げました。
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