7人が本棚に入れています
本棚に追加
_______みんな、いい子だね。
どうしようかなぁ。…じゃあ、この子にお願いしよう。
その男が手を添えた女の子が、江美でした。
そういえば、江美はそのとき、息を呑むようにその男を見上げていたのを覚えています。
自分があの後それなりの運命に遭うことを、思い当たっていたのでしょうか。
________おじさんの手伝いが終わったら、なんか買ってあげるよ。
なにがいい?…へえ、ハーゲンダッツ。いいよ。買ってあげる。
こんなやり取りをして、男は江美の手を取り歩いていきました。
日が暮れた頃。
あれから何時間も経っているのに江美が戻っていないことに、
エリとわたしは胸の奥に、なにか厭なものを感じ取っていました。
当時のわたしには、それがなんなのか、分かりませんでした。
それがただ不吉だと云うことは、
確信できていたのです。
そのことをエリと話して何分かすると、学校のほうから男が怒鳴り上げる声が聞こえてきました。
エリとわたしは顔を見合わせ、
エリは町の人にそれを知らせに行き、わたしは校舎のほうに向かいました。
最初のコメントを投稿しよう!