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PM3:00
道端で行われている路上ライヴに観客はいない。
ギターとドラムとベースがただがむしゃらに不協和音を発している。
彼らは僕の存在に気付き、一緒に弾かないかと誘ってきたので、他にする事のない僕はそれに応じる事にした。
機材は揃っていたので直ぐにセッティングをし、ギターを取り出すと皆が突然僕の方を向いた。
「それってもしかして、今日ライヴを生中継しているあのバンドのギターヴォーカルが弾いているギターか!?」
ベーシストが声を上擦らせて聞いてくる。
そうだと僕が答えると三人が歓声を上げた。
「俺達実はそのバンドが好きで集まったんだが、ギターヴォーカルがいなくてさ、ナイスタイミング!」
ドラマーはそう言ってスティックを構える。
「よっしゃ、やるか!」
ギタリストもやる気満々だ。
僕のセッティングも終わり、買ったばかりのギターをかき鳴らす。
とてもキレイな音色だ。
既に用意されているマイクに向かって僕は声を吐き出し、色のない街にロックンロールが響き渡った。
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