PM10:00

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PM10:00

 銃声が響いた。  それと同時に僕を追いかけていた者達が倒れていく。  音のした方へ顔を向けると自衛隊が三人でマシンガンを構えていた。  彼らは僕の方に歩み寄ってきた。 「危ないところだったね」  隊員の一人の優しい声はどこかで聞き覚えがあり、その人の顔を見て僕ははっとなった。 「あなたは、もしかして…」 「き、君は娘の…」 「はい、そうです」  やはりそうだ、この人は僕の大切な人の父親だ。  自衛隊員だと聞いてはいたが、まさか仕事中の彼に出会う事になろうとは。 「ふむ、こんなところで出会うとはな、神様の思し召しだろうか」 「神なんている筈ないです。いるのなら…」  彼の言葉に他の隊員が反論するが、続きを言う前にもう一人がその口を抑えた。  今更そのような事で議論する意味なんてないので別におかしくない行動と言える。  ああ、そういえばと彼は続ける。 「娘に会いたくはないか?」  僕は反射的に頷いた。 「あそこにある高いビルを知っているか?」  そう言って彼は遠くの方にある、一際目立つ高いビルを指差した。  あのビルは確か、高い場所から景色を眺めるのが好きなあの人と何度も遊びに行った事のある思い出の場所だ。 「そこの屋上に娘はいる。  電車も動いているから今から行けば間に合う筈だ」  …まさか、最期の最期でこんな素敵なチャンスが訪れようとは。 「駅までなら護衛しよう」 「あ、あなた方はどうしてこんな所に居たのですか?」  僕は疑問に思っていた事を口にした。  すると彼は微笑んで答えた。 「ボランティアさ。  上からの命令が途絶え、する事もない中でここの混乱を聞いてだな。  折角武器もある事だし、こうして駆け付けたって訳さ」
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