プロローグ

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彼は私の隣に腰掛けるとふぅ、とため息をついた。 「どうかしたのか?」 私が声を掛けると「いや、昔のことを思い出してね。」と彼は遠くを見るような目をした。 「昔はやっていたかくれんぼと鬼ごっこを合体させた遊び、あったろ?」 「ああ。」 確か、隠れ鬼と言った。 まあルールとしては隠れる鬼ごっこ、だ。 「楽しかったよなぁ。毎日そればっかり。」 そう私が微笑むと彼は羨ましそうに、かなしげに私を見つめた。 そして、こうつぶやいた。 「あの遊びで何人も亡くなったって知ってたか…?」 薄暗闇の中、ろうそくのゆらりと火が揺れた。
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