プロローグ

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「……藤林さん。相変わらず、凄いセンスね」 「ありがとうございます」 美琴と美術の先生が話していると、クラスメイトがひそひそ話を始めた。 「ねぇ、藤林さんって確かあの有名な画家の……」 「うん、娘のはず……」 クラスメイトが騒つくのも無理無い。 美琴の絵はお世辞にも『上手』とは言えない程のセンスだった。 「ねぇ、神堂さん」 「なぁに?」 絵を書きながら、愛香はクラスメイトに聞き返した。 「藤林さんって……」 美琴の事を聞かれると、愛香はニコニコしながら応えた。 「そっか、今年からだったら知らないよね。美琴ちゃんは本当にあの、『藤林拓斗』の娘さんだよ。ただ……」 そこで一旦言葉を切り、美琴の方を見た。 「……美琴ちゃんには、受け継がなかったみたいだね~」 愛香は少し苦笑いを浮かべながら言った。
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