部屋

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あの子が初めて 僕の部屋に訪れたのは 確か11月の終わり頃 ヒーターとテレビの スイッチを入れて ソファーに座る僕 「暖まるまで  少し待ってね」 物珍しそうに 部屋を歩きながら キョロキョロするあの子 「うん」 変な物はないはずだけど その様子に ハラハラする僕 「どうしたの?」 寒いのか 手を温めながら ハンガーに掛けてある 僕のパーカーを 見ているあの子 「なんでもないよ」 デザインが変かな? 配色が奇抜かな? 何か匂うかな? 交差する思いを 誤魔化すように 笑って話しかける僕 「寒かったら  きてもいいよ(笑)」 一瞬、固まった後 僕の隣に座り くっついてくるあの子 「…」 予想外の大胆な行動に 冷静を装いながら 焦る僕 「あ、あれ?  寒かったらきても  いいのに  あのパーカー  でも、あ、あれかっ  僕の方があったかいかも」 顔を真っ赤にして 僕の右腕を 何度も叩くあの子 「間違ったの!  勘違いしたの!」 「きてもいいよ」 って言ったら 隣にきたあの子 僕は少し 日本人で良かったと 思った この子に会えて 本当に良かったと 思った  
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