少年は少女を見て笑う。

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 飼い犬の死から数日後、最も彼の生活で変わった事といえば飼い犬の世話が無くなった事くらいなのだが。  なんにせよ、それから数日後。  彼はクラスメイトを見てため息をつく。  クラスのほぼ全体を巻き込んでのイジメ。  その被害に合っている少女を見て、彼は人知れずため息をついた。 『死んでやる!お前ら全員明日に報告を受けて後悔しろ!』  そう言い残して飛び出した彼女を再び見たのは夜の10時過ぎ。  紫苑が夜食を買いにコンビニに出向いた帰りだった。  彼女の頭上に、時計は無い。 「お前、それじゃ死ねないよ。」  紫苑の言葉に、少女は驚く。  彼女の手には木に縛り付けたロープが握られており、台に乗り今にも首を吊ろうとしているように見えるだろう。  その状況にも関わらず、彼はそう言ったのだ。 「……どうしてそう思うの?」  少女の問いに、彼は笑いながら答える。 「お前に時計が見えないから。」  少女には意味が分からないのだろう、数秒固まった後に彼女は吊られたロープに首を掛けた。  そしてロープの吊られた枝が鈍い音を立てて折れる。 「言っただろう?それじゃ死ねないって。」  彼はそう笑いながら彼女に背を向けて歩き出す。
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