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薄暗い部屋のなかで、蝋燭の小さな明かりが揺らめく。
風もないのにひときわ大きく揺れると、部屋の隅、粗末なベッドの上がもぞりと動いた。
薄い掛け布団を体に巻き付け、横臥しているのは14・5といった年頃の少女。
薄目が開いて、壁を見つめ…ゆっくり体を起こす。
「……なんということでしょう…」
呟きながら壁に触ってみれば、冷たい石壁で、ベッドから降りれば、敷かれた板が素足を冷やす。
たった二歩先にあったテーブルには燭台と何か書いてある紙。
そこから燭台を持つと部屋を見渡してみた。
部屋は狭い。窓も扉もない妙な部屋だ。
壁は削り出したそのままのようで、ごつごつしている。
さっきまで寝ていたベッドは木を組んで、藁を敷いた簡素なもの。
ついでに服は麻のワンピース一枚。寒い
「うーん…謎い」
一通り部屋を探って、成果を上げられずにベッドに腰かける。謎解きか何かかと思っても何も無さ過ぎた。
ひとつため息をついて、ようやくテーブルにあった紙を手にした。
「紙じゃないや、皮?」
気味悪そうにしながら燭台を近づけて、文字に目を通す。
知らない文字のはずなのに読めることに驚きながら。
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