第一章 彼が彼である理由は彼しか知らない。

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何か言いたそうに口を開こうとしたクラスメイト。だが時すでに遅し。その時にはもうオレは蹴りを放っていた。 パンッ そんな効果音が鳴り鳴り終わった時にはクラスメイトは尻餅をついていた。無様だな、おい。そんなんで倒れるとか鍛えてない証拠だろ。 「お前っっっっっっっっっっ!!」 親衛隊の皆さんが叫んでこっちに向かっているのが聞こえたが容赦無く蹴る。蹴る。蹴る。 数十発入った所でクラスメイトは薄っすら涙を目に浮かべていたので足を止めしゃがみ込み 「確かにオレがキツネだ。由来は狐ヶ丘中学校からやってきたから。…そんな顔するなよ、掘りたくなるだろ?」 そう言ってぺちぺち頬を叩くと歯を強く噛み締めて悔しそうな目で見つめてくる。その目を見てゾクゾクする。そう、オレはそう言う目が見たいんだよ。 席に戻ると親衛隊の人がクラスメイトに駆け寄り「大丈夫ですか?」と声をかけている。オレのところに来るのかなーと思ったら来なかった。 どうせ、あのクラスメイトがなんか言ったんだろう。優しい奴ほどこの世界では生きていけない。あいつはこの世界じゃ生きていけない弱い奴だ。
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