17735人が本棚に入れています
本棚に追加
『彼らの遺言により我は娘らを村に近づけないようにする。良かったらお主も協力してくれないか?』
ふむふむ……状況はわかった。
ここで俺が言うべき言葉はこれだな。
「断る。」
『な、なにっ!?』
「あのなぁ、んなもんユーナやマリーが望めば連れていくのが筋ってもんだろ。そりゃあ俺は実の父親じゃないさ、だが親らしく叱って誉めて笑って泣いて暮らす覚悟はあるさ。だからもしどんな無理難題でもガキ共の為ならやってやるよ。それが例え自分の村に行きたいって願いでも叶えよう。」
『それが、娘らを悲しませようともか?』
「自分で決めたことだ。覚悟くらい決めてるだろうさ。」
しばしバクゥは考える仕草を見せる。
数分ほど考えたバクゥは言う。
『わかった。協力を求めるのは止めよう。』
「………ってことは。」
『うむ。我は我で娘らを彼らの遺言を無下にするようなマネはしたくない……ゆえに、娘らが村に近づいた時、我はあらゆる手を使って遠ざけよう。』
「………それがお前の覚悟か。」
『うむ。お主とは真逆の覚悟だがな。』
「それくらい分かり易いほうがいい。ま、ユーナ達が村に行きたいと言い出さないことを祈っとけ。」
『クハハハ!我相手にこれほど強気な人間は初めて見たわ!お主名前は何という?』
「サイガ・ビー。ただの人間だ。」
最初のコメントを投稿しよう!