街から客で子煩悩

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「そいつはありがてぇ。おーい、開門だー。」 「へーい。」 門番の合図で門を開ける係員が魔法陣を起動させる。 門自身に刻まれている魔法陣が薄く輝き門が重々しい音と共に少し開いた。 「さ、通っていいぞ。」 「サンキュ。」 門番さんに軽い感謝をし街に入る。 門をくぐると大通りがあり、その左右には出店やら大型デパートやらが並んでいるのが目に入る。 俺らはデパートには寄らず、少し入り組んだ道を通る。 道を抜けるとそこには市場が広がっていた。 あまり頻繁に買いにこないのでデパートでちみちみ買うより市場でまとめて買った方が我が家には丁度いいのだ。 「おや?サイガさんじゃないか!今日も買い物かい?」 市場に入って商品を見ながら安いのを探してると、八百屋のおばちゃんが話しかけてきた。 「あぁ、今日は野菜と娘らの服と職探しにきた。」 「あっはっは!さすがのサイガさんも金欠にはかなわないかい!」 「金は天下の回し者ってな。今日は何が安いんだ?」 「今日はキャベンとアッパナ(アスパラ)と……トント(トマト)が良い出来だよ。」 「キャベンはありがたいな。10いただこう。」 「まいどありっ!サービスでレートン(レンコン)もいくつか入れとくね!」 「お、おいおい、そんなのいいよ。」 「なーに!いつもあんたにゃ世話になってるからね!たまにゃサービスしなきゃ後味悪いよ!」 実はこのおばちゃん、八百屋以外にもいくつか職業をもっている。 その内の一つに引っ越し業者(社長)ってのがあって、たまたま以前通りかかった俺が困ってる所助けて知り合った。 ちなみにクローゼットが重すぎて運べなくて困っていたのを俺が運んだ。 70kgはあったぞ……あのクローゼット。
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