親父との思い出

2/7
前へ
/50ページ
次へ
初めてボスに出会った時、あたしもボスもまだ10代で、2人ともまだ若かった。 ボスはまだボスの地位にはいなくて、次期ボス候補として100名近い部下を持つ優秀な幹部ってだけだった。 それに対して、あたしは当時のボスの愛妾の連れ子という立場だった。 本当の親が誰かも知らず、母親が病死した後はそれに代わって当時のボスの閨に通う女になっていた。その当時のボスのことをあたしは親父と呼んでいて、親父のプレイはいつもけっこうハードだった。時間も場所も関係なく、何人かの幹部連中にはコトの最中を見られたりもしていた。今のボスはその内の一人でもあった。 「おい、小僧。  今日はおめーが中の見張りやれ」 ボスの命令は絶対のマフィアの掟に、呼ばれて来た若き頃のボスは逆らいもせず、部屋のドアの前に立ってあたしが親父に犯されるのを見つめていた。何の感情も示さず突っ立っていた彼に、あたしは時折あかんべーをしたり中指を立てて挑発したりした。それに気付いた親父が面白がって彼に交ざるように声をかけたこともあったが、彼は黙って首を振った。それでも、コトが済んだ後のあたしの身体を温かなタオルで拭いてくれたりはした。 あたしがその後も親父から逃げなかったのは、その時のあたしには他に行き場もなくて、親父はあたしに床のテクニックを仕込むとともにハニー・トラップを利用した暗殺技術も教え込んでくれていたからだ。20をこえてから、あたしは親父の命令であちこちの要人暗殺に関わった。あたしの持つあらゆる技術と口の悪さはすべて親父譲りだった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加