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本部屋敷に帰ってきて、あたしの日常は、親父がいたころに戻ってきていた。
だけど、外回りの仕事はさせてもらえなかった。
「もうお前を外には出さねーよ」
そう言ったボスの言葉に嘘はなく、毎日夜となく昼となくボスの部屋でボスの相手をして、それに飽いたら幹部連中の予定を組み上げて会食に付き合い、組織の表から裏までを余すところなく知り尽くし、あたしの精神も肉体もマフィアのボスの女としてすっかり作り変えられていった。
あたしはボスの上手な根回しのおかげで、特に誰からの反感も買うことはなく、その地位についていた。むしろ、2代のボスに渡って愛された女として、あたしのことを恐れる連中の方が多いくらいだった。
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