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「マリア、屋敷に変わりはなかったか」
3泊ほどの遠出をしていたボスが帰宅し、本部屋敷は俄かに活気づいた。
ボスが外に出かけると、決まって大量の土産品を持ち帰ってくれるからだ。本部屋敷からなかなか離れることのできない通信監理系の組員や世話役の組員たちは、食べ物から工芸品まで多岐に渡るその土産品を選ぶことに情熱を燃やしてた。
「特に何もなかったよ。
そっちはなんか収穫あったのか」
その日帰ったボスの様子はどことなく緊張感を孕んでいた。
だからあたしもついついそことなく問いかけた。
「ん、ああ。まぁな」
妙に歯切れの悪い返事に気持ち悪く思いながらも、その時のあたしは深く追求しなかった。組織に関することならば、どうせいずれはあたしの耳にも入ってくる出来事だろう。そんな風に軽く考えていたんだ。
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