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「リアさん………」
それから翌々日。
あたしはボスからも誰からも特に何を聞くでもなかったけど、遠出前とは違う空気の漂う執務室にいい加減いらいらきていた。何を隠しているか知らないが、隠す気があるんだったらもっと本気で隠し通せ…そう思いつつ。
ボスが島の見回りに出た昼間、あたしは先日の遠出に同行していた比較的若い組員をボスの部屋に呼んだ。
「…さて、なんか隠してんだろ、お前ら。
そろそろ鬱陶しいんだよ、吐け」
若い組員はひぃぃっと竦みあがって顔を伏せた。
「お、おれ、知りません!」
「それ、もっかいあたしの目ぇ見て言ってみな」
「…え、と…お…おれ……し、しし知りません」
視線が右に動いていた。嘘だ。
あたしはあからさまに盛大なため息をつく。
「ボスが何を隠したいのか知んないけどなあ、あたしに言えないってのはなんだ…あたしのことをなんか疑ってんのか? あん?」
「ち、ち、違います!!!
ボスには何も言われてません!
俺たちでボスが言うまではリアさんには黙っとこうって決めたんです。
…だから、これ以上は、すんませんっ!!!!!」
若い組員はそれだけ一気に捲し立てると脱兎のごとく部屋を出て行った。
「あ…、おい……」
あたしはそこに立ち尽くした。
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