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その日から数日後。
「タルテッサ・ファミリーから、会食の申し込みが来たって本当っすか!??」
玄関ホールに響き渡った声は、つい最近本部屋敷配属になった新人の組員のものだった。
「あ…馬鹿、ここでその名前を口に出すな!」
他の組員の制止も空しく、あたしとボスは丁度そこを通りがかっていた。
ボスの眉間には、あからさまに不機嫌な皺が刻まれる。
「ボス、今日もお疲れさんですっ」
何も知らないその組員は元気よく挨拶したけど、ボスはその存在にも気付かないフリをして横を無言で通り去った。あたしはその半歩後ろを歩きながら、不安な表情を浮かべるその組員に「お疲れさん」と声をかけてやった。
ボスが角を曲がると、後ろで強い拳骨が振り下ろされる音がした。大方、若い組員が隣にいた組員に叱られたんだろう。
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