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「…君」
声がした瞬間、背中にひやりとした感触が乗った。
「ふきゃわあわああああ!?!!」
突然のことにびっっっっっっっっっっくりしてあたしまでレモネードを落としそうになって飛び上がる。
「あ…ごめん」
振り向くと、さっきまで1メートルは離れていたはずのそいつがそばにきて、あたしの背中を触っていた。
「んだよ…びっくりさせんなよ…」
「いや…奇麗だな、と思って」
そいつが触っている右肩から背中にかけて。そこにはタトゥーが入っていた。
「そーだろ、綺麗だろ」
「これは…誰かの名前?」
お前には棘のある薔薇が似合うだろ…そう言われて、荊と彼の名前をあしらったタトゥー。
「あたしのボスの名前だ。
いつでも、どこにいても、あたしはボスのもんだっていう、な」
この辺じゃ有名な巨大マフィア。あたしは気が付いたらそこで働いてた。
「…くすぐってえよ」
そいつはひと彫りひと彫りを丁寧になぞるように触っていった。
いつのまにか巻かれたバスタオルも落ち、そいつは丹念にそこを触り終えると、今度はその舌で背中を舐め始めた。
あたしにそれを止めることなんてできなかった。
そいつの身体中への口づけがあたしの唇にたどり着き、その先に進むまでは長いようであっという間のことだった。
びっくりするくらい丁寧に扱われ、優しくされ、可愛がられて意識が何度も吹っ飛んだ。
そいつが何を考えてんのか分からなかったけど、何かに耐えるようなそいつの顔を見つめて果てるのはサイコーだった。
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