八鐘牡丹

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誰もが羨む、世界のトップに君臨する切符を手に入れたエリートな俺達であったが、絶賛遭難中だったのである。 今日、王室守護就任式という事で王室に馳せ参じる予定であったが、どうにも事前に支給されていた王室への地図が読みにくくて、気がついたら見知らぬ森に歩いていた。 「よし、ここで王室守護を一人減らしてやろう!! 俺は全国の皆様の為に王室守護枠を一つ開けてやろう!! 感謝しろ愚民共!!」 鈴蘭の辺りの空気が変わる。 不味い!! 何だかんだ学園三年間共に過ごした仲だが、こいつは容赦ない!!。 加減という文字を知らない!!。 鬱蒼と生い茂る森の中、あまりにもこの場に似つかない格好をした鈴蘭は俺に殺意の眼差しを向ける。 このチャラい髪色と、黒いファーコートを着た如何にも頭悪そうな彼も“王室守護と肩を並べる”事を認められたのは事実だ。 並みのリフォルム使いとは一線をきしている。 鈴蘭は、地面にある小石を蹴り上げ弾丸なような速度をその小石に与え、俺に向けて撃ちだした。 こんな物、当たったら頭が破裂する。 常人なら死を覚悟するレベルだ。 これになんの恐怖も抱かない俺は、いつの間にかもう常人という枠を超えてしまっているのだろうか?
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