八鐘牡丹

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マッハという単位の速度を持って迫り来る小石に、俺は自分のリフォルムを使う。 ―――“固有種”俺のリフォルムはそう呼ばれている。 世界で同じリフォルムが存在しない、極めて稀なタイプなリフォルムの事を言うらしい。 目の前の氷上鈴蘭のリフォルム、万物に発生する数式を書き換えるというぶっ飛んだリフォルムでさえ、世界に千単位で保有している者がいる。 という点では俺は実に恵まれている。 もし、俺のリフォルムが売れるならとんでもない価格になりそうだな。 笑みが零れ落ちてしまう。 ……いやぁ、優越感優越感。 ―――小石が俺に直撃する30センチ手前、そこでピタリと止まる。 静止する。 まるで、自分に与えられた物を“全てを失った”ように。 そのまま、ストンと音もなく重力に引かれ小石が落ちる。 「……つくづく相性の違いというのを思い知らされるな」 鈴蘭はその結果を見て、つまらなさそうに口を開く。 「俺は危険極まりないお前の保護者として、王室守護に選ばれたのだろうなきっと……感謝しろよ! 敬意を示せ!! よし、『これからお世話になります牡丹様!!』って言ってみたまえ」
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