prologue

2/3
前へ
/185ページ
次へ
暗い路地。 冷たい雨。 明滅する街灯。 白い息。 外の世界はこんなにも寂しいところだっただろうか? 嗚呼、寂しいのは私が独りだからか……。 分かり切っていたことだ。逃げたところで結局、私は独りなのだ。 私は自由と一緒に絶望も掴んでしまったらしい。 私は独りだ。 今にも闇に塗り潰されそうな程私は独りだ。 ……それでも 私から自由と外の世界を奪った、あんな所に帰るくらいなら……。 ……孤独の方がまだマシだ。 行く先のない私はただ天を仰ぎ、雨に打たれた。 空はどこまでも黒かった。 「……死んだ方がまだマシだ」 「死を選ぶのは愚かだよ」
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加