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「猫岸沢━━君?」
少し躊躇いがちな、イケボがすぐ背後から俺の耳に飛び込んできた。
「ほぇ?」
ゆっくり振り向けば、転入生がいた。
爽やかなスマイルで……
「隣の席になった、矢手 玲です。よろしく」
「よろしく」
ほとんど音もなく椅子を引き、腰掛ける転入生。
間近で見ると、ホントきれいな顔立ちだった。
まつ毛長いし、鼻は高い。肌はきれいだし……。
うらやましいな、コノヤロー
「━━やっと見つけた」
ぼそりとソイツは小声で呟いた。
「え?」
何を見つけたって?
「えっ……と、僕のことは“玲”で構いませんよ、猫岸沢くんのことは」
「乃羅でいいって。あと、敬語も抜き。っつか、さっきなんか言わなかったか?」
少し首を傾け、微笑するソイツ。
「気のせいじゃないかな?」
周りの女子からは“キャー”という黄色い悲鳴があがっていたけど、俺にはソイツの“玲”の顔が綺麗だったとか、そうゆうのは考える暇がなくて、
ただ、違和感を感じていた。
背中がゾクリとしたっていうか、日常が変わりそうなそんな不安。
イヤな予感?
よくわかんねぇや。
考えんのやーめた。
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