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タートストーク
「うん。そおだねえ」
「そおだねえじゃねえよ。なんだってんだよ!!人をバカにしたような口をきいてよ!いいたいことがあんならはっきり言えよ!」
「ふうん……」
「ああ、またそうやって……、もういい!別れるじゃあな!!」
「え、あ、あー」
わたしの前から彼氏が去ってから1ヶ月くらいがたちました。
わたしはいまだに彼のことが忘れられずに、別れの現場となったショッピングモールのベンチに座ってぼうっと一時を過ごします。
「おねえちゃんなにしてるのー?」
と、たまに子どもに話かけかれます。
「あー。っとねえ」
「きれいだね」
「んーありがと」
「ねえ、彼氏とかいるんでしょう」
「あー」
「ぼーっとしてて楽しい?」
「んー」
子どもは自分たちのペースで話します。
わたしの話す10倍くらいのスピードで、
話題が移り変わり、自分のしたいことをします。
とにかくまず頭の中でしばらく考えてから吐き出すわたしの会話は、どうやらこの世界の人々には合っていないようです。
激昂して、感情を撒き散らすがごとく、しゃべれば良いのでしょうが、そんなことはできません。
怒ったことないから。
やったことないことをやれというのは、少々無理な気がしますし、やる気もないので、わたしはきっとこんな性格(と、いうか特徴)を一生背負って生きていくのだと思います。
まだ、生きようとしてるだけ、いいと思います。
理解されない世界で生きていくのは辛いですから。
「あー」
空を見上げると、青空に鳥が一羽飛ぶのが見えました。そこからのながめは良さそうね。と感じながら、眼下に広がる町を眺めます。
「まぁ、いいかあ」
と、ぼそりと呟くと、私を呼ぶ誰かの声が聞こえました。
「しんじゃだめだあ!」
生まれて初めてしらないひとに押し倒された。そんな学校の屋上でのひとときのロマンスでした。
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