体重計

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梅子は悩んでいた。 梅子の家の体重計では、最大136㎏までしか計れないからである。 136㎏を越えると、乗った人の気持ちをオブラートに包み込んだ様な優しさ。逆に言うと、冷たい現実を直視しろとばかりに『エラー』と表示される。 errorを直訳すると『過ち』 素っ裸で体重計に乗っている梅子にとって、まったく過ちは無いと断言できる。 何しろ、体重を少しでも減らそうと、サウナに行き、さんざん汗を流し、更にうっすら生えてきたヒゲも剃った上、鼻毛も抜き、耳かきもした。 これ以上ず何ればエラーにならないかと思い、重そうな冷蔵庫を乗せようとしたが、ぎっくり腰になってムリ。 ――――梅子は閃く! 「この体重計、壊れてんじゃないの?」 ならばと、試しに自分より重い地球を計る事にした。 計測方法はいたって簡単。 体重計を野外に持って行き、ひっくり返すのだ。 「アタシって天才」 そう言うと、地べたに体重計を逆さまにして置く。 ――――!! 表示が見えなかった。 「親分! 全裸で何やってるんですか? 通報していいですか?」 声の主は、隣に住む子分の竹男だ。
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