パールヴァディ

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「――――…」 あたりはすっかり日も沈みウェイドはホテルの部屋でゆっくりと趣味の小説を静かに読んでいた。 「パラ。」 (ウェイド)「……、」 (部屋のドア)「コンコン。」 (ホテル員)「ウェイド様、夕食をお持ち致しました」 (ウェイド)「‥ん? あぁ、もうそんな時間か」 本を閉じ ガラステーブルに置いてあったカップにコーヒーを注いで飲むと、ふと昼間に出会った比奈木悠という男が妙に気にかかった。 “あんたが関わる事じゃない” (ウェイド)「…世の中 いろんな奴がいるもんだな」 ふと胸のポケットの中のタバコを探るが中身は空っぽだった。 (ウェイド)「…と、丁度切らしてたか…」 そして、 (ホテル員)「お出かけですか?」 (ウェイド)「あぁ、ちょっと小用でね すぐに戻る」 夕食を済ませてホテルの外へ出るとハッと昼間のリジムの言葉を思い出した。 (ウェイド)「そう言えばリジムが夜は出歩くなって言ってたよな‥」 “最近この街で妙な化け物が徘徊してるっていう噂だ” 「………。」 (ウェイド)「‥物騒な話だな、早く用事を済まさないと」 時刻はPM19:30を回っていた。 ――同時刻―― (とあるビルの廃屋上)
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