32.来ちゃった

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僕が、温まったホットケーキを愛紗さんに差し出す。 先輩も、カップに温めたオニオンスープを入れて、皿の脇に添える。 「ありがとう・・」 「このパンケーキ、美咲さんが作っておいてくれたんですよ。  美咲スペシャルだって、言ってました。」 「美咲が?」 「オニオンスープも美咲さんから教わったんです。  美咲さんって、料理、上手いんですね!」 先輩が、美咲さんを褒めている。 「ええ・・  美咲は、家庭科、得意だったから・・」 「愛紗さん!クリームとメープル、たっぷりありますよ!」 彼女がここぞと言わんばかりに、甘いものを薦めているが・・・ 「いえ・・私は、マーガリンとシロップだけで良いわ・・」 苦笑いしている愛紗さん。 「ほう・・通ですな~」 さすがに、甘党スペシャルだけは遠慮した愛紗さんに、すこしガッカリした彼女・・ホイップが空しく冷蔵庫へと戻される。 マーガリンをパンケーキの上に乗せ、メープルシロップをかける。 トロっととけるマーガリン・・ フォークを入れようとした愛紗さんが呟く。 「美咲・・・」 愛紗さんの脳裏に、美咲さんとの想い出が浮かぶ・・・
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