スタートの瞬間

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スタートの瞬間

たくさんの幸せを知って欲しいという願いから『幸知子』と名づけられた。 小さい頃はおてんばで、男の子と一緒に虫採りや魚釣りへ出かけるのが大好きな子だった。 中学の思春期を迎えると、恋愛に興味を持つようになり人を観察するようになった。 この頃から頭で考えで行動する事が増えてきた。 冷静で大人しい。 男性と付き合うことは多かったが、不思議なものですぐに飽きる。 悪気はないのだが、『この人となら大丈夫かな』と思って付き合ってみても彼女にとっては想像通り、もしくは想像以下の人物で何も刺激がないのだ。魅力も感じない。 そんな自分に嫌気がさして大学に入ってからは誰とも付き合うことがなくなった。 付き合ってもすぐに冷めてしまう。 別れるくらいなら最初から付き合わない。 告白されることはあったが彼女がイエスということはなかった。 大学は彼女にとってとても楽しい場所だった。 今までの数学や英語のように小さい頃から慣れ親しんだ科目ではなく、自分の興味を持った科目を履修すればいいのだ。 もちろん必修科目はあるがたかが知れている。 担当教授の出版しているテキストを購入してレポートを提出したら完成。だいたいはそれで単位がもらえる。 興味のあることは熱心に学んで、ないことは要領よく試験を受ければそれだけで大学というのは卒業できるのだ。 少なくとも彼女の通う大学はそうだった。
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