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しかし幸か不幸か、少女の腕から完全に落ちる前に、ワープ機能が発動した。
そしてワープが終わる一瞬手前でタマゴが落ちたために、彼女がワープした地点より少し離れた地点にワープしたのだ。
まるで運命に引き寄せられるかのように、とある少年の元へと。
それがこの二人の運命を大きく変えるものだったことは、おそらく神だけが知っていただろう。
「なんで無いのよ……! 近くに落ちたはずなのに……」
少女は文字通り血眼になってタマゴを探していた。
あれさえあれば長年憧れていた人と同じ立場になれるのだ。 なにがなんでも見つけなければ。
近い。 必ずこの公園の中にある。
だが何か違う力が、彼女のこれ以上の探知を邪魔していた。
それはとても懐かしいような、でも初めて感じる力。
だから少女は自分の視覚だけを頼りに探していたのだ。
しかし彼女にとって最悪の出来事が起こる。
激しい力――魔力の高まりとともに、一筋の赤い光が空を貫いた。
契約完了の合図だ。
――そんなぁ!!!!!
この瞬間、彼女の夢はあっけなく潰えた。
「なんてこと……すんのよーーーーー!!!!!」
だから、少女が夢を破壊した少年の頭を蹴り飛ばしたとしても、それは仕方がないことだろう。
これが少女――梨沙と、少年――翔の、今となっては笑い話だが、最悪の出会いだった。
~プロローグ エンド~
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