夕陽を見に

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「いつからだよ?それ」 「見えちゃったか…付き合って一ヶ月。私がサークルの飲み会から帰ってきたときよ」 ずいぶん本性を現すのが早いんだなと、妙に客観的に分析していた自分がいた。何ができるわけでもないのに何に必死になっているんだろう。 「それが日に日にエスカレートしていって…まあ、典型的なパターンね。別れ話進行中なんて言ったけど、全然進んでないの。帰省したのも逃げるため。まあ、こっちにもいい思い出なんかないけどね」 彼女は転校してきて、小学校までは順調な学校生活を送っていたが、中学校に上がって、その癖のある性格が災いしていじめにあった。高校ではいい仲間に巡り会えたらしいが、その仲間も今は県外へ出てしまっているらしい。 「よかったのは体の相性だけでしたねー。それ以外は何にも考えてない人だった」 「でもそのセックスにひいひい言わされてたんだろ?」 「下衆いこと言わないで」 「すまんな」 茶化してみたものの、彼女の目は死んでいた。その目には終わりの見えない地獄が写っているのかと思うほど、その彼の話をする目は死んでいたのだ。僕は何も言えなくなって、ウェイターを呼び、コーヒーのおかわりを注文した。 「…ねえ、私たちが仲良くなったきっかけ覚えてる?」 「?覚えてねえよ。何だっけ?」 ふふと笑うもったいぶった表情はなんだか久しぶりに見た気がする。いや、俺の知っている早紀はこんな顔をしたことがあったのだろうか。知っているようで知らない彼女を見た気がして、胸の中に何か宝物でも見つけたときのような衝動がちらっと走った。
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