異世界へのきっかけ

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…寒い。 雨は徐々に小降りになってきてはいるが、11月の半ばになってくるともう、すぐそこには冬。 もう少し暖かい服をきてくれば良かった…と、ぼやきながら腕をさする。 朝日がゆっくりと、焦らすように顔を出している。 お母さんたちは何も知らずに、呑気に寝ているのだと思うと、腹が立ってくる。 別に家族のことは嫌いではない。けど、そこまで好きでもない。 もう、どうにでもなれ!という思いがあるのに、 …迎えに来ないかなぁ…と思っている自分もいるんだ。 頭のなかで葛藤しているうちに、たくさんの人の声が聞こえてきた。 でも、こんなに人がいるのに、たしかに聞こえてきたんだ。 …私の天敵であり、私を超えたアイツの声が。 なにか大声で叫んでいるが、そんなの知ったこっちゃない。 私は家出に忙しいんだ、ふんっ!
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