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…でも、なんとなく分かってた。
私が、あいつに勝てるはずないんだって。
2位。
他の人からしたらとても、良い結果だと思う。
けど、駄目なんだ。
あいつを抜かさないと―――――
「玲奈ー!
僕、初めて満点取れたんだー!」
うるさい。
あいつは、私の気持ちなんて知らないから、そんな事が言えるんだ。
あいつは選ばれた人間だから――――
「玲奈?どうしたの?」
パシッッ
「あ・・・」
「あんた、なにしてんのよ!?
蓮~!痛くない?」
「蓮さん!すぐに冷やさないと…!」
大げさな。
あいつがよりにもよって、私の額に手を伸ばしてきたからその手を払っただけなのに。
なんで
なんで私ばっかり。
「っっう」
つい、逃げてしまった。
後ろで蓮が何か言ってるが、知らない。
学校に居たくない。
でも、それ以上に家に帰りたく、ない。
さんざん迷ったが、屋上でサボることに決めた。
蓮ほどではないけれど、これでも私はモテる、らしい。
だから教室へ行っても、きっと新聞部などに追い掛け回されるだけだろう。前にも一度そうなって翌日、話題になっていたっけ。
私が美少年の蓮を振った、てね…
生まれつき茶色のセミロングの髪に、茶色の瞳。
これのせいで、昔はよく外人みたい、といわれていた。
古くなり錆びてしまっている屋上の扉を開けると、ゴロンと寝ころんだ。
お日様がまぶしくて、あったかいこの場所は、私のお気に入り。
目を閉じると心地よくて、そのまま私はいつの間にか夢の中へ入り込んでいた。
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