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言われるままに腰を下ろした恭史郎は、どこを見ていいのか分からずキョロキョロと視線を動かしていた。
「ええと、名前は……?」
「恭史郎さんです。もちろん本名じゃありませんが」
横から晴美が言った。
「恭史郎ねえ。いつからこの名前を?」
「今です。今、私がつけました。ピッタリでしょ、彼に」
晴美は眼を輝かせて、恭史郎を見てニッコリとほほ笑んだ。
「分かった分かった。晴美君はもういいから、彼と話をさせてくれないか」
会長はそう言って、恭史郎に問いかけた。「君はこの会がどういうものか知ってて来たんだろうね」
「はあ……」
知ってるはずがない。晴美の手前、そう言うしかないのだ。
「だったら訊くが、君は今まで何かを殺したことがあるか。もちろん人間とは言わない、小動物や虫の類いでもいい。殺しについての君の意見が聞きたい」
「はあ……」
そう言われても、「殺し」という言葉を聞いただけでも卒倒してしまいそうな気の弱い性格なのだ。今まで何かを殺したことがあるのだろうか。
恭史郎は、あまり能率のよくない思考コンピューターを始動させてみたが、
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