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「もちろん、手当たり次第に殺すんじゃない。殺人を依頼した人の話と、殺される人の現状を確かめたうえで、どうしても殺さなければいけないと私が判断したときに、初めて会員たちに殺人を依頼するんだよ」  会長はそう言いながら、さっきまで見ていた怪しげな本の端を折りたたんでから、引き出しの中にしまった。 「会長、それ……」  晴美は見た。端を折りたたんだページには、モザイクのかかっていないアレがドアップに映し出されていたのである。俗に言うエロ本だ。 「いや、これは……新しい殺人の方法を考えていたんだよ。その……参考資料にと思ってね……」  タジタジとなって、会長は再び恭史郎に向き直った。 「とにかく、殺人者として君の性格は合格点を上げてもいい」 「へっ……。だって、僕」 「ここにいる人たちはね、みんな気の弱い性格の人ばかりだったんだよ。小さな虫しか殺せない。ちょっと怪我するとすぐ泣いてしまう。――だからこそ、人間を殺すということが感覚的に分からないんだ。もちろんグチャっと潰すわけじゃないからね」 「でも警察は……」
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