後編

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「とにかく、五月五日の子供の日に予定してある。それまでにはノルマも達成しているだろう」 「ちょっと待ってください。あと一週間しかないでしょ」  恭史郎は慌てた。 「大丈夫だ。三日後に、十人まとめての殺人依頼が来ているんだよ。ある小さな会社の慰安旅行があるから、そこを殺ってくれ。なに、そいつらが死んだって、社会の秩序が乱れるわけじゃない。安心して行動してくれ。それでちょうど百人目だ!」  会長は高笑いしていた。恭史郎は殺人成功率百パーセントなのだ。  恭史郎が震えているのには誰も気づかず、会員たちは遊園地のアトラクションの話で盛り上がっていた。  何と皮肉なものだろう。今回の殺人はわざと失敗したふりをして、遊園地行きを引き延ばそうとしていたのだが、たまたま十人の会社員が乗ったマイクロバスが、運転手のミスで崖から転落してしまったのだ。もちろん全員即死。  新聞の社会面では、運転手が突然心臓マヒを起こしたための事故死として取り扱われいたが、QGのメンバーは、誰しもが恭史郎の見事な集団殺人の栄誉ある報道としてみていたのである。
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